ディエラ地方の神々
目次
ラゲルプト海神
海の神。波・風・永遠の神。緑石(サファイア)のトライデントで海の旧支配者を倒した。人身御供あり。紺色の衣を正装のさい着用する。
メトル神(女神)
ミスコーラともいう。光・真実と愛・太陽・昼・生命の神。金髪で一糸纏わず、ユニコーンではない一本角の馬をもつ。金色、白色が象徴。亜「神」として人間の最成長体である理想の非妖という位格の座にある。
女神ミスコーラ教・メトル神解説
エイブルサック公国都市国家の巨大建造物の中でも最大の威容を誇る大神殿を本拠として『完全』を司る女神ミスコーラ(ミスコリア中性神)をまつる教団。大神殿は街に横行する拝金主義とは一線を画す慈悲に溢れる一面を垣間見ることができる場所である。この信仰は発祥地の西方では滅びたとされ、ハイルダル帝国時代に伝来した比較的新しいものである。しかしその由来は超古代にまで遡ることができるとされている。
エギナ統一帝国への無血明け渡しの際には大神殿は中立を宣言し、以来、ここを聖地として中心に栄えてきた。女性と男性の美しさを兼ね備えたミスコーラ神のイメージは作者の創造力を大いに刺激するのか、神殿の内部には数々の素晴らしい彫像が据えられていて、天井や壁面、欄干などにも神話を元にしたレリーフが整然として彩り、ハイルダル帝国様式、エギナ統一帝国様式、そして現在この地方最高の技術水準のエイブルサック様式の競作はエキゾチックで独創的な美術館のような様相である。巫術(ふじゅつ)を行う巫女や神官が『サイレースの神託』と呼びならわされる託宣を得る。大礼拝堂と小さな所、聖典や巫術などの研究室、巫女や神官の生活施設など、設備は総本山としてかなり整えられている。
その布教活動は小規模であるが、市民に占める信仰者は他宗教に比べれば多い。唯一の教義である『完全』とは、自然物の完成である『生命』を神聖として貴ぶ大原則をうちたてる。そこで理性による自然保護を謳い、巨大な動植物園を建設したり岩塊山脈の山麓に植林したりしてその力を示している。しかし他に教義が明確に示されておらず、例えば古代から伝わる堕胎術を行う医者を捕らえ処刑するためにこの地方全域を旅してまわる者(ジャクリュー派)や、食料生産が追い付かなくなる人口増加防止のために同性愛行為を奨励するというなんとも極端な解釈をとる一派(ヒグザノル派)もいる。生殖行為を神聖化した教義を掲げたグループ(ポラナエン派)は、信者に神官や巫女の若者を与え売春同然の行為させていたが弾劾されている。慈悲に溢れるイルカイム派は、移民たちや極貧者を生活させるために神殿の一区画を発言力で占拠し、保護下の人々の収入の一切を計画的に管理して、生活が安定するまで衣食や子供の世話まで面倒見ているという。
しかしやはり主流は大礼拝堂に集い従う正統であり、奉るミスコーラ神が『完全』を司るが故に決して侮れぬほど強固に組織化されている。「大神官」を頂点とする「大礼拝堂会」が儀式を行い、四つの組織を統率し管理する。その四つとは、防衛や警備を行うサイレース神聖騎士団、自然保護作業や各地の神殿をまとめる「散策庭園会」、書物に限らない研究を担う「神聖書院会」、星を調べたり情報収集を行う「月読尖塔会」で、それぞれの祭司長が責任を担う。この中には新教義を持つ宗派や権力のある個人の派閥に傾く神官もいるが、従うのは祭司長であり大神官なのである。
ベルムン異神
エギンの者たち(エギナびと)に戦いと流血を避ける理性を与えた神。もとは真理探究、学問の神。茶色が象徴。
フェラビン翼神
クノーンの都アブネルの守護神。クノーン王国の祖。
セト邪神
暗黒、恐怖、死から超えた者、敗れ果て眠り待つ者。最期の破壊者。終末の王。神に敵対する者。人身御供あり。黒色がシンボル。
グラッツ風神
天空と風の神=(月・太陽)天体を動かす力、雲をとどめず、真を知る神。農業、作柄、植物の神。いけにえあり。空青色が象徴。
タズ冷酷神(女神)
女性を喰らう者。洪水、嵐、吹雪……の陸水の神。災厄の神。あやかしと迷い、怨念の神。人身御供あり。赤色が象徴。
アギーン神
不可侵、<北の神々>の親で主神。偶像を禁じる。中性神で海の底の黄泉の王。人身御供あり。
ベルムーン神
強き守り、攻めの力を失い守護神となる。敵を愛する神。盾と鎧の神。獣神有翼。虜囚を喰らう。人身御供あり。スパイクのあるものが象徴。
テヴァウ神(女神)
栄光、誇り、勝利、威圧、力の神。戦陣を駆ける翼持つものを従える。英雄と正義を好む。高い尖塔が象徴。クノーン暦法の守護神。
コルバノン神
太陽の神。魔と邪を滅ぼす者。暗黒をうち滅ぼす神。威厳の神。すべてを平等とし、人々を愛でる。神の中の異端。いけにえあり。黄金、橙、太陽、琥珀色が象徴。
蠍毒の神々
グラムバード神
嵐神(らんじん)つまり嵐の神。風気、気象を司る。嵐を運び、陽の光を運ぶ。大いなる天空支配力から豊穣の祈りの対象でもある。農耕の神。草原の雲、黒雲といかづちの神。主神ブロンバーンの第一子でもあり、黒鉄の身体を持ち、黒い大牛に乗る。父神から追放され平原の彼方に住む。槍に宿る神でもある。平原の彼方にあって、黒き嵐の神々の父である。その妻は稲妻の神、ミュルゲルである。ランデドゥの兄神。雨の神、草原の乾きと川の神。黒色の槍を持つ。赤子、より多くの雄牛のいけにえあり。濃緑・濃茶色、黒色の槍が象徴。
フォーソム神
炎の神。清き神々の長。風神ランデドゥの第一子であり、風の神々ではない。新しいものを生み出し、新しいもののために滅ぼし、清める力を持つ。生けるものの創造者。生と死の支配者。あかい炎。
ランデドゥ神
風の神。絶大な力を持つ神。平原(大地)の父である。生命ではない自然物の創造者。荒野の王。白き風の神々の中心であり、父である。主神ブロンバーンの第二子である。白く透明な衣服をまとい、流れるような長い白い髪、そして表情は常に澄んでおり、冷徹。白い風に帆走する空上の船に乗る。その妻は緑たる草原の神ファノファストゥである。虐げる者と心地よい者。枯れ草を伸ばし、青草を倒す者。愛でる者と破壊者。白色の大盾をもつ。いけにえは水銀に浮かべた鳩の血液。白色、白槍、茶糸と緑糸の装飾が象徴。疫病の神でもある。
バルバン神
戦いの神。鉄と青銅の神。風を切る弓の神であり、戦士の名誉を定める神。塵と勇気の神。主神ブロンバーンの第三子。人々の戦意を支配するもの。勇者の力と度胸。血飛沫と破壊、阿鼻叫喚の神。敵の血の滴る心臓を喰らう者。勝敗の天秤を持ち、屠られた戦士の心臓とその武器を分銅にする。馬一千頭の牽く車に乗り、そのそばに死の神々と地獄の神々の使い魔の犬、嘆きの神々を揃え、屍臭と屍を求める様々な生き物たちの軍勢を率い、戦場に宿る。怖じ気付いた臆病者の捕虜のいけにえあり。その泣きわめく恐怖と血の人身御供のこともあり。赤色、赤槍が象徴。
ブロンバーン主神
主神。巡り(めぐり:時)と季節の神。力に基づき裁判を下す神。全ての神の王。最も若き神にしての王。その名を語るも激怒する王。畏怖、神々の威厳の源。全てを司り、全ての源の神。風の源とされる伝説の風穴を持つ山ガラヴィエアトにある永遠の黄金の神殿に住まい瞑想している。時は彼が決めたようであり、それは人にとって運命である。冷たく白い光を放つ角。そして鷹のように全てを見通す目。黒曜石の縫い付けられた黒光りする色の服。そして貴き渡り鳥のブロンバーンの使い。尊い赤子の命を連れてきたり、また、連れ去る。人身御供あり。太陽(空であればよい)が象徴。