エイブルサック公国都市国家

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地勢と気候風土

 都市国家エイブルサック市はディエラ地方の北方、マルダン共和国とペディオン王国の中間の沿岸、岩塊山脈に囲まれた平野に位置し、天然の要害の中にある。温帯の気候だが、冬は厳しい。寒冷の割には降雪は珍しい。  この地域の森林はあらかた伐採済みで、冬の燃料木材は北方からの輸入に頼っている。

創建と歴史

 この街の数奇な運命の第一の惨劇。建設当初、ハイルダル帝国の皇帝が自分の兄のリンファクト太公をこの城塞の駐留軍司令官兼任の支配者として任命したが、かねてよりエイブルサックシティーの攻略に手を焼いていたエギナ統一帝国は協定を結ぶと見せ掛けた計略によりそのリンファクトを捕らえ、身柄の釈放と引き替えに城塞の無血明け渡しをさせた。この明け渡し期限を過ぎた7日後、無実の大陸中央地方の出身者がほとんどであったとされる『残留ハイルダル』は虐殺され、その資産は略奪され、焚書などによって文化的にも完全に抹殺されたと言っていいほどの残虐行為によって一掃された。この事件は<戦慄の七日間>と呼ばれエギナ人の凶暴性や排他性を歴史的に立証しているとされる。それからは逆にエギナ統一帝国側の北方防衛拠点として、本国との関係は何度も遮断されながらも長い間最後まで堅持され続けた。そのため当時からしだいに自治権が認められて行くに従い、職工や商人の組織化が進み組合(シティー・ギルド)が生まれ、これは戦争下のエギナ統一帝国全体の経済どころか軍事にさえ大きく影響を及ぼして行く結果となる。そればかりでなく帝国の文化人や技術者を招聘したりして文化を進んで取り入れたりした点もその後の繁栄の基として見逃せない。  第二の惨劇。栄光が灰塵となり帝国が滅亡した直後は、低所得者層の市民の激しい暴動を鎮圧する為に残留軍はかかりきりとなり、国家崩壊を食い止める手立てを打てなかった。残留軍を指揮して軍事政権の支配を目論んだとして司令官は逆に吊し上げられ、そんな惨劇の直後の絞首台の上で、まるではじめから仕組まれていたかのように都市経済域の自治独立・永世中立・共和制の三つの宣言が読み上げられた。ペディオンの反乱の開始と丁度重なって早くから完全に内外の独立を達成する。さらにペディオン王国建設に莫大な投資と経済援助を行なったことで経済上ばかりでなく軍事的な安定をかち得た。その後は永世中立の自治都市国家として現在に及んでいる。

国の規模

都市国家として成立しているため国境線ではなく経済の勢力範囲がエイブルサックの外郭である。貿易航路と街道を通して勢力圏は飛び地状に展開していてアリアハン系カーゴ人との利益の一致に基づいた結託で各地に通商館を建設している。軍事上の平和はペディオン王国の有力騎士への経済援助で保たれている。この都市の領有を目標とする国家がないのは現在までの永世中立の看板を利用した場合の利益の享受を天秤にかければおのずとわかることだろう。

農業

周辺の平野での農耕は都市の人口に対しては十分な生産量である。奢侈を求めてさまざまな地方の農産品を求め輸入も多い。  

経済と交通

 エイブルサックシティーは街とその周辺の経済域である岩塊山脈の盆地や谷を支配する都市国家である。マルダン共和国とペディオン王国の間に位置し、海岸線に沿って北方に向かう街道の難所の宿場町として、またデューラ海に面しダルンセーネ半島以北とディエラ地方中心部を結ぶ重要な航路の中継地点となっている。

政治制度

 国(都市)の運営は市長を市民によって選挙し、その当選者の任命する各部署の政務官たちと構成する政務局を中心に政治を執り仕切る民主的な政治形態をとっている。その市長は商工者議会と軍部議会に対して拒否権を持つ。しかし実際、街を支配しているのは幾つかのシティー・ギルド(組合)の息のかかった商工者議会であり民意とは切り離されたものと見て良いだろう。それは歴代市長のほとんどがシティー・ギルド側の商工者議会の議員出身であるためである。大半の低所得者層の支持を得る軍部議会出身の市長は個人的な実力で成り上がった優秀な人物が多いが、それでも政務局内の政務官には商工者議会出身者やシティー・ギルドに買収された者が行く手を阻み、失墜させられたり暗殺されている。  シティー・ギルドは良質の職人工芸品の『生産』の保護を必要とし、他国への技術者の『流出』を防ぐための政策を支持してきた。この力は絶大で国家を越えてディエラ地方全体を支配しているとさえいわれている。シティー・ギルドの持つ技術はエギナ統一帝国の錬金術の中の門外不出とされた巧妙な加工術を基礎としているため圧倒的な水準にあり、わずかながらも魔法に関わる貴重な部分の技術をさえ残しているという噂も根強い。街の産出品は多くの専門の職工の手を経る複雑なシステムから生まれるために、自らの手をかけた製品が最終的にはどんな形でどの様に用いられるのか知らない職工たちさえいる。だからそんな噂がはこびるのだろうというのが定説ではある。  しかしシティー・ギルドばかりがこの街の支配者と言うわけでもない。もう一つの巨大な権力機構、それはこの街を本拠地とする女神ミスコーラ教団である。『ミスコーラ宮殿』という渾名で呼ばれる大神殿はこの城塞の立ち並ぶ要塞都市の中でも最大級の荘厳な建物で、川が流れ幾つかの池のある広大な自然公園を庭のように控えている。教団の莫大な資力はディエラ地方を統べるシティー・ギルドと張り合えるほどであり、表面上はともかく水面下では大規模な画策を行っていることは間違いない。  シティー・ギルド、そして女神ミスコーラ教団という組織の利害関係の中で民衆が翻弄されるという構図が運命の生み出した不思議な実なのである。


政治の仕組み

人々と風評

  『自由と平等の国、エイブルサックシティー』という宣伝がディエラ地方、いやエイドリアン大陸全土に広まった。それが実際は『通貨(カネ)』の支配する腐敗の街であることを覆い隠してきた。夢を求めてやって来た人々をいち早く食い物にして成り上がることができる、その点でこの国は平等だから、自由であるのだ。そんな実際の風評通り、エイブルサックシティーというこの街は数奇な運命を辿り不思議な実を実らせている。  男女の別、民族にかかわらず、エイブルサックシティーの『生活者』として認められた者に、市長選挙の投票権つまり市民権は市民税を支払う義務とともに与えられる。市民権の捏造や売買はない。見習いを含む職工以外の市民は徴兵制によって軍事訓練を行うことが義務づけられており、防衛の強化にぬかりはない。もともと軍事魔法戦を想定して建造された町の内部を占める幾つかの城塞や見張り塔は取り除かれたものもあるが、そのままシティー・ギルドのグランドファクトリー(大工房)や市民のアパートメントに利用されているため防衛力には計り知れないものがある。アパートメントは普通の市民の住まいで、共用の井戸や便所を持つ。住人の税の取り立てや投票権の承認などの管理を任されているのが大家で、夫婦や親子の喧嘩の仲裁まで細かな面倒まで見ているから、当然大きな権限を持っている。  

有力者一覧</h1>

ハウル(カーゴ系)

 ペディオンのハウルの血縁関係であるが、交流はないという。主に中継貿易で収入を得ている。港湾設備の四割が彼の資産である。固定資産によって毎年莫大な収入を上げている。琥珀などの宝石類の取り引きは80%ものシェアを持つとされる豪商である。  本名アルクレー・ハウル。50代に差しかかるくらいの活動家であり、諸外国の要人との交流がある。このエイブルサックの経済界の外交の要である。  倉庫ギルドと宝石ギルドの筆頭であり、港ギルド、琥珀ギルドにも所属する。盗賊ギルドとの癒着の噂もあるが、大ギルド長である。

ブラントード(カスタナ系)

 旧帝国(ハイルダル)が城塞都市建設団を送り込んだときの、この建設団のリーダーの末裔。エイブルサック首長であり、港湾ギルドの筆頭である。また息子は管理局長という多忙で争いに巻き込まれやすい責務をこなしている。  本名コワールト・ブラントード。ハイルダル遺物を収集するのが趣味で、武術や馬術の教育を伝統的に重視してきた。書物好きから魔法にも興味があるらしい。奇妙な形の屋敷に住む。40才過ぎで、趣味に熱中している。他のギルドには所属していない。

キシルカム(エゼル・マルダン系)

 北方陸上隊商隊を持ち、マルダンよりも実りがあるということで、移住してきた新興商。革製品、毛皮、珍しい薬草、香水、宝石、陶器、海産物などをもたらす。50人の隊商隊を26隊も所有し、この町に定期的に1か月に2隊がやって来るようにして、安定を計っている。北方取り引きが中心だが、カルマニアまでの南方のルートを開拓中であるという。

ナオソス(ハイルダル系)

ケルセーブズ(ハイルダル系)

    治安 住環境 騒音 教育 公衆衛生 大気汚染 居住スペース 交通  

<h1>★エイブルサック市街案内★

  サイレース大神殿  巨大建築の多いこの街でも最大規模の建造物が、ミスコーラ(ミスコリア)神の、この街の古名を冠したサイレース大神殿である。ミスコーラ宮殿という皮肉を込めた呼び名もあるが、慈愛に満ちた場所である。数多くの神官や巫女から選ばれた者が巫術で『サイレースの神託』という神の発言を得る秘蹟を執り行なう。大礼拝堂と小さな祈祷所、聖典や巫術などの研究室、巫女や神官から貧しい者の生活施設など、設備は総本山としてかなり整えられている。シティー・ギルドと対抗しながらも巨大な権力を保ってきた。   シティーギルドサロン  この地方の経済を牛耳るシティーギルドの社交場および会議場で財界の中心。ハイルダル帝国の太公の居城であった城塞で、儀式執行のための凝った造りが当時の面影を残す。