ソル・ネットの発達

No.65

現在のインターネットはすさまじい勢いで進歩し、ソルネットはバーチャル空間（仮想現実）のコンテンツを参照できる時代となっている。検索情報端末としてはインターネットは役割を終えている。そういった意味のデータはアモルファス金属で作られたメモリとして比較的安価に入手できる。広告媒体の掲載や改竄情報による劣化を気にしなければ良いだけだという。メンタル・リビング・プロクシ（ＭＬＰ）によって瞬時に情報摂取を済ます方法もある。
そういったローカルな端末の動きを含めて、月の支配者A.I.は極秘裏にすべての活動を追跡している。
バーチャル空間を使って機密情報をチェックすることは、セキュリティーコードを入手した凄腕のハッカーと高速のマシンのコンビネーションにしかできない芸当となっている。しかし、古いデータはアクセスしやすいため不正な改ざんが行われ、電子情報の腐敗が進んでいる。維持・生産を求めることより、破壊・搾取を求める風潮がソル・ネットの脅威である。
また、宗教的・封建的・自然的バーチャル・コンテンツが人気を集めている。個人は一見移動可能なバンド（特定集団）の中に所属しているのが普通である。
バーチャル空間は精神分析学上で言うところの「夢のスクリーン」上に投影される。五感の働く仮想現実の空間が実用となっている。労働もその空間のために行われる場合もある。データ・アルコールやデータ・スモーキングの登場で合法・非合法の嗜好品が流通して、社会も神も堕落も、その空間に見ることができる。