「科学対魔法」の版間の差分
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ところが近年、科学の方こそが人間を無視した宗教と化し、正邪善悪には倫理哲学が科学の奴隷のように追従するようになると、現代哲学では盛んに警鐘を鳴らしています。<br> | ところが近年、科学の方こそが人間を無視した宗教と化し、正邪善悪には倫理哲学が科学の奴隷のように追従するようになると、現代哲学では盛んに警鐘を鳴らしています。<br> | ||
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− | <q>ES細胞を作成するためには、ヒトの受精卵を壊す必要がある、という問題である。体外受精の過程で生じる「余剰胚」と呼ばれる受精卵だが、これを母胎に戻せばヒトが生まれることから、それを破壊することは「人工妊娠中絶」やさらには「殺人」に相当するのではないか、という疑念が欧米のキリスト教界を中心に提起された。というのも、ローマ・カトリック教会は「ヒトの生命は受精の瞬間から無条件の尊重を要求する」という立場から、たとえ研究上の目的であっても、受精卵への操作や廃棄は生命を奪う行為であるとして、それに強く反対してきたからである。</q><ref | + | |
+ | <q>ES細胞を作成するためには、ヒトの受精卵を壊す必要がある、という問題である。体外受精の過程で生じる「余剰胚」と呼ばれる受精卵だが、これを母胎に戻せばヒトが生まれることから、それを破壊することは「人工妊娠中絶」やさらには「殺人」に相当するのではないか、という疑念が欧米のキリスト教界を中心に提起された。というのも、ローマ・カトリック教会は「ヒトの生命は受精の瞬間から無条件の尊重を要求する」という立場から、たとえ研究上の目的であっても、受精卵への操作や廃棄は生命を奪う行為であるとして、それに強く反対してきたからである。</q><ref>[https://www.jstage.jst.go.jp/article/tits/18/2/18_2_26/_article/-char/ja iPS細胞と生命倫理 野家 啓一]</ref><br> | ||
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+ | ここで思い出して下さい。科学と魔術の対立図式を。魔術には迷信や詐欺などもありましたが、心理的なもの、願いと祈りがその本質でした。それが魔術と宗教を支えていたのです。それが、トランス・サイエンスに対峙できる手がかりとなるでしょう。<br> | ||
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+ | 科学は迷信や呪術や宗教に対して魔法というこの烙印を押し迷妄から訣別しようとしました。しかし、人間の全ての想いを数値化するような心理学研究、脳科学による思考の仕組みの解明と模写、ヒトゲノム計画による人間の発生論は、人間には寄与せず、科学の名の元に行われた人間への侮蔑と冒瀆となりました。人間と乖離した科学は新たなる神を創造した。<br> | ||
+ | 人間が強大な神を創造し、世界を支配するというのは、錯覚です。人間は科学の奴隷に成り下がった。巨大な原子炉、核融合炉を建設して、それをコントロールしているかのようでも、その実体は奴隷です。科学は奴隷を必要とし、徴発する。人間の奴隷による奉仕を要請する。そのような世界に人間は主権を失います。<br> | ||
+ | 本来の人間性は魔術の中にあって、科学の圏域拡大に対して地下に潜伏しました。<br> | ||
+ | 人間の自然への回帰、本来の人間性の回復。それがマジシャナルズです。<br> | ||
==関連項目== | ==関連項目== | ||
*[[レラール教]] | *[[レラール教]] | ||
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2020年5月7日 (木) 02:33時点における最新版
このテーマは哲学が哲学者とソフィストという対立図式を必要としたように、科学もまた科学と魔法という対立図式を必要として成立に役立てたテーマ[1]です。
ところが近年、科学の方こそが人間を無視した宗教と化し、正邪善悪には倫理哲学が科学の奴隷のように追従するようになると、現代哲学では盛んに警鐘を鳴らしています。
たとえば、es細胞技術とiPS細胞技術はどうでしょうか。
ES細胞を作成するためには、ヒトの受精卵を壊す必要がある、という問題である。体外受精の過程で生じる「余剰胚」と呼ばれる受精卵だが、これを母胎に戻せばヒトが生まれることから、それを破壊することは「人工妊娠中絶」やさらには「殺人」に相当するのではないか、という疑念が欧米のキリスト教界を中心に提起された。というのも、ローマ・カトリック教会は「ヒトの生命は受精の瞬間から無条件の尊重を要求する」という立場から、たとえ研究上の目的であっても、受精卵への操作や廃棄は生命を奪う行為であるとして、それに強く反対してきたからである。
[2]
こうした問題をiPS細胞技術は解決した。しかし、新たな倫理的空白を生み出しました。これがトランス・サイエンスです。懸案は同性同士の細胞を使って卵子と精子を作ることが出来る可能性があることや、キメラを使った臓器培養が出来る可能性についてです。こうして、科学は科学には答えられないトランス・サイエンスを生み出しました。
ここで思い出して下さい。科学と魔術の対立図式を。魔術には迷信や詐欺などもありましたが、心理的なもの、願いと祈りがその本質でした。それが魔術と宗教を支えていたのです。それが、トランス・サイエンスに対峙できる手がかりとなるでしょう。
そんな期待から、科学と魔術の対立図式を文学やエンターテインメントで愉しんでみる。
科学対魔法のテーマはこのような位置づけです。
科学の秘密結社テクノクラテス
テクノクラテスは月を拠点とする。
魔法の秘密結社マジシャナルズ
マジシャナルズは南極を拠点とする。
科学は迷信や呪術や宗教に対して魔法というこの烙印を押し迷妄から訣別しようとしました。しかし、人間の全ての想いを数値化するような心理学研究、脳科学による思考の仕組みの解明と模写、ヒトゲノム計画による人間の発生論は、人間には寄与せず、科学の名の元に行われた人間への侮蔑と冒瀆となりました。人間と乖離した科学は新たなる神を創造した。
人間が強大な神を創造し、世界を支配するというのは、錯覚です。人間は科学の奴隷に成り下がった。巨大な原子炉、核融合炉を建設して、それをコントロールしているかのようでも、その実体は奴隷です。科学は奴隷を必要とし、徴発する。人間の奴隷による奉仕を要請する。そのような世界に人間は主権を失います。
本来の人間性は魔術の中にあって、科学の圏域拡大に対して地下に潜伏しました。
人間の自然への回帰、本来の人間性の回復。それがマジシャナルズです。
関連項目
- ↑ 世界哲学史2古代Ⅱ世界哲学の成立と展開P.23 納富信留
- ↑ iPS細胞と生命倫理 野家 啓一