「グルフェラミン・プラン」の版間の差分

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(ページの作成:「No.42  衰退を続け、凋落一途にある地球では、起死回生の逆転打が提案された。それは、大気交換装置である。  環境破壊が...」)
 
 
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No.42
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 衰退を続け、凋落一途にある地球では、起死回生の逆転打が提案された。それは、大気交換装置である。
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No.42<br>
 環境破壊が進み、一部の地域では酸素ボンベを使用しないと生きていけないほど汚染が深刻になった大気を全地球規模でそっくり入れ替えようという計画だ。発案者は地球連邦ドイツブロックの科学省大臣、エルザ・ブローグナー(26歳、女性)。
 
 ブローグナーは、汚染物質の吸着と浄化を行う超微粒子「グルフェラミン」のフィルターを無人飛行船に搭載し、半永久的に地球中を隈なく飛び回らせることで、大気中に浮遊する汚染物質を回収できると説明した。
 
 地球の大企業は、既に厳しい法律で汚染物質の排出を最小限に抑えていたが、多年に渡るツケは大きい。ブローグナーの計画は、コストもさほどかからず、歓迎されるかに思われた。
 
 これに異を唱えたのが酸素ボンベとガスマスクの製造業者である。環境破壊に乗じて急成長した彼らは、ブローグナーの計画を阻止するためにデマをばらまいた。いわく、彼女は実はレラール教徒(旧称)の一員であり、回収した汚染物質を秘密基地に貯えこんでテロの機会を狙っている、と。
 
 ブローグナーならびに彼女の協賛者たちは、無実を主張したが、製造業者たちは議会に圧力をかけてグルフェラミン・プランの実行を凍結させてしまった。
 
 しかし、これは瓢箪から駒を産む結果となってしまう。一連の騒ぎに応じたレラール教徒たちは、ブローグナーを拉致監禁し、デマの通りに汚染物質の回収プラントを設計するよう強要している。まだグルフェラミンの具体的な製造方法は彼女しか知らないため、連邦政府は必死になってブローグナー博士の場所を捜索している。
 
 博士は頑として協力を拒んでいるが、どこまで持つかはわからない。博士は独身であり、金にも困っていないので、さしあたりその種の脅しは受けない。
 
 もしレラール教徒がグルフェラミン・プランを実行に移したら、地球は彼らに制圧され、月や火星に牙をむける可能性がないわけではない。もともと地下資源の有効利用率は地球が一番進んでいる。月は絶対量が乏しく、火星は採掘・精錬機械が普及しきっていない。つまり、月や火星は地球政府が利権争いで分裂し、かつ環境問題に苦しめられているからこそ優位に立っているのであり、それは絶対不変というわけではないのである。
 
 こうして、テクノクラスとレッド・テラもブローグナー博士の捜索に血道をあげる次第となった。
 
  
イージーエイト
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 衰退を続け、凋落一途にある地球では、起死回生の逆転打が提案された。それは、大気交換装置である。<br>
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 環境破壊が進み、一部の地域では酸素ボンベを使用しないと生きていけないほど汚染が深刻になった大気を全地球規模でそっくり入れ替えようという計画だ。発案者は地球評議会ドイツブロックの科学省大臣、エルザ・ブローグナー(26歳、女性)。<br>
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 ブローグナーは、汚染物質の吸着と浄化を行う超微粒子「グルフェラミン」のフィルターを無人飛行船に搭載し、半永久的に地球中を隈なく飛び回らせることで、大気中に浮遊する汚染物質を回収できると説明した。<br>
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 地球の大企業は、既に厳しい法律で汚染物質の排出を最小限に抑えていたが、多年に渡るツケは大きい。ブローグナーの計画は、コストもさほどかからず、歓迎されるかに思われた。<br>
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 これに異を唱えたのが酸素ボンベとガスマスクの製造業者である。環境破壊に乗じて急成長した彼らは、ブローグナーの計画を阻止するためにデマをばらまいた。いわく、彼女は実はレラール教徒(旧称)の一員であり、回収した汚染物質を秘密基地に貯えこんでテロの機会を狙っている、と。<br>
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 ブローグナーならびに彼女の協賛者たちは、無実を主張したが、製造業者たちは議会に圧力をかけてグルフェラミン・プランの実行を凍結させてしまった。<br>
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 しかし、これは瓢箪から駒を産む結果となってしまう。一連の騒ぎに応じたレラール教徒たちは、ブローグナーを拉致監禁し、デマの通りに汚染物質の回収プラントを設計するよう強要している。まだグルフェラミンの具体的な製造方法は彼女しか知らないため、連邦政府は必死になってブローグナー博士の場所を捜索している。<br>
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 博士は頑として協力を拒んでいるが、どこまで持つかはわからない。博士は独身であり、金にも困っていないので、さしあたりその種の脅しは受けない。<br>
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 もしレラール教徒がグルフェラミン・プランを実行に移したら、地球は彼らに制圧され、月や火星に牙をむける可能性がないわけではない。もともと地下資源の有効利用率は地球が一番進んでいる。月は絶対量が乏しく、火星は採掘・精錬機械が普及しきっていない。つまり、月や火星は地球政府が利権争いで分裂し、かつ環境問題に苦しめられているからこそ優位に立っているのであり、それは絶対不変というわけではないのである。<br>
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 こうして、[[テクノクラス]]と[[レッド・テラ]]もブローグナー博士の捜索に血道をあげる次第となった。<br>
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イージーエイト<br>

2020年4月22日 (水) 22:11時点における最新版


No.42


 衰退を続け、凋落一途にある地球では、起死回生の逆転打が提案された。それは、大気交換装置である。
 環境破壊が進み、一部の地域では酸素ボンベを使用しないと生きていけないほど汚染が深刻になった大気を全地球規模でそっくり入れ替えようという計画だ。発案者は地球評議会ドイツブロックの科学省大臣、エルザ・ブローグナー(26歳、女性)。
 ブローグナーは、汚染物質の吸着と浄化を行う超微粒子「グルフェラミン」のフィルターを無人飛行船に搭載し、半永久的に地球中を隈なく飛び回らせることで、大気中に浮遊する汚染物質を回収できると説明した。
 地球の大企業は、既に厳しい法律で汚染物質の排出を最小限に抑えていたが、多年に渡るツケは大きい。ブローグナーの計画は、コストもさほどかからず、歓迎されるかに思われた。
 これに異を唱えたのが酸素ボンベとガスマスクの製造業者である。環境破壊に乗じて急成長した彼らは、ブローグナーの計画を阻止するためにデマをばらまいた。いわく、彼女は実はレラール教徒(旧称)の一員であり、回収した汚染物質を秘密基地に貯えこんでテロの機会を狙っている、と。
 ブローグナーならびに彼女の協賛者たちは、無実を主張したが、製造業者たちは議会に圧力をかけてグルフェラミン・プランの実行を凍結させてしまった。
 しかし、これは瓢箪から駒を産む結果となってしまう。一連の騒ぎに応じたレラール教徒たちは、ブローグナーを拉致監禁し、デマの通りに汚染物質の回収プラントを設計するよう強要している。まだグルフェラミンの具体的な製造方法は彼女しか知らないため、連邦政府は必死になってブローグナー博士の場所を捜索している。
 博士は頑として協力を拒んでいるが、どこまで持つかはわからない。博士は独身であり、金にも困っていないので、さしあたりその種の脅しは受けない。
 もしレラール教徒がグルフェラミン・プランを実行に移したら、地球は彼らに制圧され、月や火星に牙をむける可能性がないわけではない。もともと地下資源の有効利用率は地球が一番進んでいる。月は絶対量が乏しく、火星は採掘・精錬機械が普及しきっていない。つまり、月や火星は地球政府が利権争いで分裂し、かつ環境問題に苦しめられているからこそ優位に立っているのであり、それは絶対不変というわけではないのである。
 こうして、テクノクラスレッド・テラもブローグナー博士の捜索に血道をあげる次第となった。

イージーエイト